ひだまりHoney
お財布から千円札を取り出して、紺野さんは桃宮さんに押しつけようとする。途端に、桃宮さんは悲しそうな顔になった。
「えー……だって俺……暗い廊下、怖いっす」
「はぁ、怖い? だからって女に行かせるのか……はぁー。良いよ俺行ってくる」
「紺野っち、それでこそ男だ!」
立ち上がろうとした紺野さんに、私は一歩近寄った。
「良いですよ。私怖くないですから」
「えっ……平加戸から、怖くないですって言葉が出てくると、不思議な感じがするな。無理しなくて良いよ?」
「お化けとか、お化け屋敷とか、ホラー映画とか番組とか全く平気です……それよりももっと怖い物知ってますから」
「……なに? 平加戸ちゃん」
「変態」