ひだまりHoney

通りの向こう側にタクシー乗り場があった。三台ほど並んでいる。

「あの、紺野さん。私、電車じゃなくて、このままタクシーで帰ろうと思います」
「タクシー?」
「そこのタクシー乗り場だったらすぐ乗れそうですし、大丈夫です。今日はごちそうさまでした。ラーメン本当に美味しかったです。それではまた明日、会社で」

気持ちが伝わるようにと願いを込めて、頭を下げた。

大通りを渡ろうと、人の流れのある横断歩道へ体を向ければ、行く手を塞ぐように紺野さんが回り込んできた。

「ちょっと待って! 言っただろ、責任持って送るって」
「でもそんなことしたら、紺野さんの帰りが遅くなりますし……下手すると最終逃して徒歩かタクシーで帰ることになりますよ?」
「だ、か、ら、気にするなって」

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