ひだまりHoney
「そっちで勘違いされるのは、もっと嫌だな」
本気の嫌そうな顔に、笑いを必死にかみ殺したけれど、堪えきれなかった。
「笑いすぎだろ」
ひとしきり笑った後、自分を見ている紺野さんに気がついた。
その眼差しは、とても優しくて、温かなものだった。
気恥ずかしなって、紺野さんに背を向け――……私は叫び声を上げた。
ラーメン屋の前で見たあの酔っ払いのおじさんが、千鳥足で目の前を通り過ぎようとしていたからだ。
視点の定まっていないような瞳が、固まった私に向けられる。
そのまま通り過ぎるのを、強く願った。
「おねーちゃーん」
しかし酔っ払いは、にやつきながら、一歩、二歩、三歩と迫ってくる。