ひだまりHoney
反射的に紺野さんの腕を力一杯掴めば、私を抱える腕に力がこもった。
「大丈夫。絶対、守るから」
囁かれた言葉に、涙が込み上げてきた。
紺野さんの言葉は力がある。私の心に染みこんでいく。
目の前では恐怖の対象がよろよろとうごめいているというのに、この腕の中にいれば安心だと思えた。
「あ、でも大丈夫そう」
交番の方向から走り寄ってくる足音が聞こえた。
「どうしましたか?」という警官の叫び声とほぼ同時に、顔面を蒼白にさせた酔っ払いが、身体をくの字に折り曲げた。
「うわっ!」
「いゃあっ!」
そして、むせるように嘔吐をする。
紺野さんは、私の体ごと、ガードレールに沿ってゆっくりこの場から離れていく。