ひだまりHoney
「かからなかった?」
「多分大丈夫だと思います」
足下を確認し、後ろを見れば、すぐ目が合った。
至近距離に、紺野さんの顔があったからだ。
おまけに私はまだ、紺野さんの腕の中にいる。
身動きもとれず、何も言えないままじっとしていると、ふいに、目の前の顔が、悲しそうに歪められた。
「……怖かったよな。ごめんな」
そっと紺野さんの手が私の頬に触れる。
指先が、流していたらしい涙をなぞった。
「平気です。紺野さんが、ちゃんと守ってくれたから」
恐かったけど、私は笑うことができた。
指先が顎に触れ、僅かに持ち上げられた。
紺野さんの顔が、私に近寄ってくる。
身構えた瞬間、紺野さんの動きがぴたりと止まる。