ひだまりHoney
三章、
名刺を下さい
観音折りになっている会場案内のチラシを、細長のカタログスタンドに丁寧に並べていく。
そして受付テーブルの上にある背の低いラックにも、取りやすさを考慮しながらチラシを設置する。
「これで良いかな」
まだ開封していない小ぶりのチラシ入りダンボールを、受付テーブルの足下に一つ押し込んだ。
「珠洲ちゃん。これはあまり?」
「はい、そうです」
美都里さんが残っていたダンボールを一つ持ち上げた。
「重い……そっちの一箱、宜しくね」
「はーい」
開封済みのダンボールを受付テーブルの下に押し込み、私も一つ残ったダンボール箱を抱え上げる。
そして、大田原さんのイメージ通りに仕上がったイベント会場入り口を見上げて、私は笑みを浮かべた。