ひだまりHoney
「珠洲さん、晴暉はどこに行きましたか?」
「紺野さんはダンボールを置きに行きました、けど」
心なしか、大田原さんが焦っているように見えた。
美都里さんも気がついたのか、私を抱きしめている手がぴくりと反応した。
「ちょっとしたトラブルが発生したようなんですが……あ、ここは滞りなく進んでいますよ。他の仕事の方でです。もしかしたら、僕は今から社に戻らなくてはならないかもしれません」
「本当ですか!?」
「えぇ。もう一度電話が掛かってきてから、判断する予定ですけれど」
戻ってこないと聞いて、あっと思い出す。私は静かに切り出した。
「……大田原さん。社に帰ってしまったら、今日はもう、ここには戻ってきませんよね?」
「えぇ、そうなると思います。申し訳ありませんが」