ひだまりHoney
「はいはい……それではみなさん、また明日」
爽やかに立ち去っていく大田原さんの後ろ姿を見送った後、また桃宮さんが私を見た。
「さぁ、最後は平加戸ちゃんの番です! いつ、どこで?」
いつ……どこで……。
「高校を卒業した次の日……」
元彼が私の家に来た。
腕を掴まれて、押し倒された。
逃げようとしたら、足首を掴まれた。引きずられた。
あんなに温和だったのに、その面影はどこにもなかった。
『本当に、面倒くさい女だな』
泣き叫んだ私に向かって、彼はそう言った。
あの時に目にした、うすら笑いの顔。
思い出してしまった。
気持ち悪さが込み上げて来て、私は唇を指先で抑えた。