ひだまりHoney
「あっ、悪い」
テーブルの上でカランと音が鳴る。
紺野さんが椅子から立ち上がった瞬間、皆が慌て始めた。
「え? うわっ! 何やってんだよ、紺野さん!」
「何か拭く物ないですか? 雑巾とか」
真っ白なテーブルが褐色に染まっている。
紺野さんがコーヒーの缶を倒してしまったらしい。
私も立ち上がりたかったけれど、うまく力が入らなかった。
誰かが私の腕を掴んだ。
そのまま体が引き上げられ、力の抜けた手から缶コーヒーが落ちていった。
腕を見れば、知っている大きな手が私を掴んでいた。
その腕を辿っていけば、紺野さんの申し訳なさそうな顔があった。