ひだまりHoney
「イベントが終わるまで、木村さんをお借りしてもいいですか? 上田さん」
「あぁ、構わん」
「有り難うございます……あと一人くらい、手伝ってくれる人はいませんか? もう一度言いますが、企画のチーフは僕で、運営チーフは紺野です……えぇと」
真っ白な紙が陰ったことに驚いて、私は顔を上げる。
大田原さんと目が合ってしまい一歩後退すれば、彼の視線が私の胸元に下がったネームホルダーを確認した。
「平加戸……さんは、どうですか? 興味ありませんか?」
整いすぎている微笑に、身構えてしまう。
「えっ!?」
突然の誘い言葉に、諦めようとしていた気持ちが心の上の方に浮き上がってくる。
思わず目が泳いでしまった。