ひだまりHoney
私は紺野さんにデジカメを手渡した。彼は画像を確認し、おかしそうに笑う。
「がっつり削除した? もっといっぱい撮ってたよね」
「……はい。あまりにもぶれていたので。どうですか? 撮り直してきますか」
「大丈夫。有り難う。よし、さっさと帰るか」
紺野さんが歩き出す。心なしか急いでいるように見えた。
「あの」
「何?」
私はその横に走り寄った。
食事、行くんですか?――と、聞きたかったけれど、言葉は苦笑いとなって消えてしまった。
「平加戸?」
「何でもないです。お疲れ様でした。それでは、日曜日に」
「おいっ」
走って更衣室に向かう。
勢いよくドアを開けば、丁度ドアの向こうにいた美都里さんが驚いた顔をした。