ひだまりHoney
「興味がないわけではありませんけど……」
視線を下げ『大田原 晃』(おおたわら あきら)と書かれたネームと、黒と灰色の線が交差するバイアス柄のシャツを、交互に見つめてしまう。
「興味があるというのなら――」
「わー、だめだめ! 平加戸さんは駄目だよ。大田原君」
唾を飛ばすようなしゃべり方で、タヌキ上司が大田原さんの言葉を遮った。
「どうしてですか?」
「あ、いや、それは」
大田原さんはしどろもどろになった上田係長を目を細め見つめたのち、再び私に体を向けた。
「どうでしょう、平加戸さん」
「おいっ、聞いてるのかね? 大田原君!」
「こちらに来ませんか?」