ひだまりHoney

変態ではない……と思うが、言動が乱暴だ。あまり関わりたくない。

しかも暗闇の中でその迫力が異様なほどに増しているように見えた。

私は小さな悲鳴を上げる。

あろうことか、紺野さんの名刺が落ちたのは、男の足下だったからだ。

そしてその名刺は、熊男に拾い上げられてしまった。

「すみません。それ、私のです」

返してもらうべく手を出そうとするけれど、腕が強ばってうまく伸びない。

名前を確認し、熊男は嫌な顔をする。

「お前は、オールエヌの社員か?」
「そ、そうです。名刺を拾ってくださって、有り難うございました」

ぎぎぎっと音が鳴りそうな腕を必死で伸ばした。

紙を掴もうとした瞬間、男の手は上昇する。

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