ひだまりHoney

手をどかせば、リボンのマークが現れ出た。

「おい。上司呼べよ。色々と責任取ってもらわねぇとな。早く!」

身を起こそうとした私の襟元を、熊男が力一杯掴み取った。服がぴりっと裂ける音が聞こえた。

「離して」

男が半ば馬乗りのような体勢になっていることに気がついて、背筋が寒くなった。

強ばってしまったのが、男にも伝わったのだろう。熊男は少しだけ動きを止め、じっと私を見下ろしてきた。

そして、にやりと笑みを浮かべた。

何か面白い物を見付けたような顔……元カレに向けられたのと同じ笑い方に、私は恐怖を覚えた。

咄嗟に、持っていた鞄を彼の顔面目がけて何度も叩き付けた。

< 193 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop