ひだまりHoney
手をどかせば、リボンのマークが現れ出た。
「おい。上司呼べよ。色々と責任取ってもらわねぇとな。早く!」
身を起こそうとした私の襟元を、熊男が力一杯掴み取った。服がぴりっと裂ける音が聞こえた。
「離して」
男が半ば馬乗りのような体勢になっていることに気がついて、背筋が寒くなった。
強ばってしまったのが、男にも伝わったのだろう。熊男は少しだけ動きを止め、じっと私を見下ろしてきた。
そして、にやりと笑みを浮かべた。
何か面白い物を見付けたような顔……元カレに向けられたのと同じ笑い方に、私は恐怖を覚えた。
咄嗟に、持っていた鞄を彼の顔面目がけて何度も叩き付けた。