ひだまりHoney

私はよろけながら立ち上がった。

「嫌です」
「……平加戸」
「何なんだよ、この女は。お宅の会社の質を疑うね」

熊が紺野さんに詰め寄っていく。

紺野さんは険しい表情を浮かべているが、何も言葉を返さない。

「あのー」

ぴりぴりした空気の中に、弱々しい声が響き渡った。

振り返れば女性が二人、身を寄せながら立っていた。

「私たち、ずっとそこで見てたんですけど……彼女がこの人に掴みあげられて、そのままアレに向かって投げ飛ばされてました。ね?」
「うん。そう見えた」

二人で顔を見合わせて頷いた。

紺野さんは黙ったまま、熊をじっと見つめる。

ぱっと照明が付き、明るさが戻ってくる。

熊男は怯んだような顔をしていたけれど、それを覆い隠すように、大声を上げた。

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