ひだまりHoney
乗車ドアの上部にある電光掲示板で流れていく駅名を確認する。
下車予定の駅まであと三駅。
このまま何事もなく、人口密度の高いこの空間から、無事にホームへ降り立てますように。
そう強く祈った瞬間、背中の少し下……腰のあたりに、自分ではない熱がぴったりとくっついてきた。
ぞわりと腕に鳥肌が立つ。
違う。この手は痴漢じゃない。変態であるわけがない。
きっと、たまたまちょっと、触れてしまっただけの手。
心の中で繰り返し、冷静さを取り戻そうとしたけれど、その手は私の願いを裏切った。
密着した手の平が、不穏な動きを始めたのだ。
まるで体のラインを味わっているかのような動きに、一気に血の気が引いていく。