ひだまりHoney
係長の怒鳴り声を気にする様子もなく、彼はニコリと微笑んできた。
私は拳を握り締めて、大田原さんを見上げる。
「あの……」
けれど、了承の言葉も断りの言葉も口にすることは出来なかった。
情けなくなって唇をぐっと引き結んだ。
何度か瞬きをしたのち、大田原さんは再び微笑んだ。
「一時半から上のフロアでミーティングをする予定なので、ランチでも食べながら考えてみて下さい。出来れば良い方向に」
迫力ある声音に、私はやっぱり何も言えなかった。
「木村さんも一時半ですからね。忘れないでくださいね。なんなら少し早く来てくれても良いですよ」
「は、はい」
「それでは、また」
木村さんと私に小さく頭を下げてから、大田原さんは廊下へと出て行った。