ひだまりHoney
イライラが募ってきた従兄弟の様子に、大田原さんは口元を抑えて笑いをかみ殺している。
「晃も笑うなよ」
「すみません。助け船を出すのが遅くりました……えぇと、見てるこっちの心がほのかに温かくなるような、って事ですね?」
「そう! さすが晃。こいつらとは違って、風情がある」
ぶつぶつ文句を言う二人をぎっと睨み付けてから、紺野さんは私に視線を移動し、微笑んだ。
「……ほら、平加戸。お疲れさん」
届く位置に、彼の大きな手があった。心臓が強く脈打った。
「慣れないのに、頑張ったな」
「あっ、有り難うございます」
私は手の平を広げて、紺野さんの手へと伸ばしていく。
しかし、触れると思った瞬間、動けなくなった。