ひだまりHoney
室内に仕事の音が戻ってくる。
私は左手でそっと胸元を抑えた。
すごく迷っている自分が、ここにいるのだ。
あと少しの派遣期間、上田係長を避けながら波風立てずにやっていくか。
それとも頑張って、一歩を踏み出してみるか。
そこまで考えて、また私は躊躇してしまう。
一ヶ月前仕方なく残業をした時、上のフロアに書類を届けに行ったことがあった。
その時ある一室から薄暗くなった廊下へと、明かりと騒ぎ声が漏れていて……通りすがりに覗き込んだのだ。
イベントの反省会の場のようだった。
そして打ち上げも兼ねていたようで、皆、達成感に満ちあふれたような誇らしげな表情をしていた。