ひだまりHoney

「だから、珠洲は上田さんじゃなくて、俺の彼女なんです。理解出来ましたか? それとも、もう一回言いますか?」

「俺の」を強調する言い方に、顔が熱くなった。息苦しさも倍増する。

「ところで、それ何?」

手首を掴まれ、そのまま持ち上げられる。

何だろうと思って目を向ければ、自分の手にスマホと名刺が見えた。

「俺の名刺」
「うっ」

私自身「名刺」という存在をすっかり忘れていたのに、よりによって、そこに紺野さんは気付いてしまったらしい。

慌ててそれをポケットに隠そうとするけれど、もう片方の手が私の手首を掴んだ。

つぎはぎになってしまった名刺を、紺野さんがじっと見つめている。

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