ひだまりHoney
四章、
見え隠れ
ミーティングルームの扉を開ければ、良い匂いが私を迎えてくれた。
ファッション雑誌を眺めながら小さなウィンナーを口に運ぼうとしていた美都里さんが、恥ずかしそうに箸を降ろす。
「先に食べちゃってまーす」
空いているミーティングルームは、昼時になれば、私と美都里さんのランチルームになる。
「私も早く食べよう。お腹空いちゃった」
テーブルにお弁当と飲み物を置き、椅子に腰掛ければ、向かいに座っている美都里さんが戸口をちらりと見た。
「どうしました?」
「ちゃんと閉まってるわね」
「あ、はい。閉めました、けど」
美都里さんは口の中に入っている食べ物を飲み下して、私にむかって身を乗り出した。