ひだまりHoney
「大田原さん、お見合いするみたい」
「お見合い!?」
「朝、紺野さんと話してるの、聞いちゃった」
「……そうなんですか。大田原さんなら、お見合いなんてしなくても、相手はいくらでもいそうなのに」
お弁当を開け「頂きます」と合掌すると、美都里さんから小さなため息がきこえてきた。
「……将来のオールエヌ社長には、結婚相手にそれなりのメリットがないと、やっぱり駄目なのかな」
「メリットですか……え……えぇ!? 社長!?」
身を仰け反らせれば、美都里さんが唇に人差し指を押し当て、様子を伺うようにもう一度ドアを見た。
急に喉が渇いてしまい、私はお茶のペットボトルに手を伸ばした。
「やっぱり知らなかった? 私もこの前のイベントで、松戸さんに聞いて初めて知ったんだけど」