ひだまりHoney

「あっ、ノックもせずにいきなり開けてしまってすみません。驚かせてしまったみたいですね」

ホラーというよりも、メルヘンチックな世界に住んでいそうな人――大田原さんがミーティングルームに入ってきた。

「小窓から、お二人が食事する姿が見えましたので、ご一緒させてもらおうかと思ったのですが……お邪魔でしょうか?」
「い、いえ。こちらこそ、すみません。お化けかと思って」

顔を真っ赤にした美都里さんに、大田原さんはふふっと笑う。

「お化けですか?」
「そうです……貞子の話をちょっと」
「貞子、ですか」

美都里さんの隣へと進み行く途中、大田原さんが横目で私を見た。その表情はちょっとだけ硬くて、思わず訝しげな視線を投げつけてしまった。

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