ひだまりHoney
「あぁもしかして、それは……晴暉絡みの貞子ですか?」
彼は持っていたオレンジ色のビニール袋をテーブルに置いた。
パン屋の袋の持ち手が、疲れたようにくたりと曲がった。
「どんな風に、話を聞いているのか分かりませんけれど……まぁ、要は晴暉の元カノの話ですよ」
元彼女。
紺野さんだってもういい大人なのだし、私と違って経験も豊富だろう。
元カノという存在が一人や二人……いや、両手では足りないくらいいたとしても、おかしくはない。
「あの。付き合っていた方が亡くなってしまったとか?」
しかし貞子などと聞いてしまうと、付き合っていた誰かが亡くなってしまって、その亡霊に紺野さんがつきまとわれているのかもしれない……などと思ってしまう。