ひだまりHoney
車窓の向こうにある暗闇の中に、時折何かの明かりが流れていく。
それを瞳に宿し、紺野さんは内に籠もってしまっていた。
何を考えているのか全く見えてこなかった。
話し掛け辛くなり、私も黙り込んでしまったのだけれど――……あの時、紺野さんは、希世さんのことをずっと考えていたんだ。
そうだったのか分かった途端、寂しさが体の中で広がっていく。どこかが軋んだ気がした。
「……珠洲さん、聞いても宜しいですか?」
「は、はい。何でしょうか?」
「イベントの日の帰りに、晴暉と何かありましたか?」
「えっ」
色々あった。
恋人の振りをしたこと。抱き合ったこと。紺野さんが好きだと思った事。
あったにはあったけど、どれもこれも言い難い。
「不躾な質問でしたね。すみません」