ひだまりHoney
「いいえ。まさか」
大きく首を振って否定すれば、大田原さんは「そうですか」とつまらなそうに肩をすくめた。
「晴暉は、しばらく仕事と趣味だけに時間を使いたいと言って、希世さんと別れたのですが……最近ちょっと顔つきが変わった気がしまして」
サンドイッチを包む透明なフィルムを丁寧に剥がしながら、大田原さんは瞳を細めた。
「希世さんも気付いたらしくて、よく電話をしてきます……僕にも頻繁に、今晴暉は何をしているのかと」
気だるげに首を振った彼を、私は何も言わずにじっと見つめた。美都里さんもだ。
静かになってしまった室内に気がついて、大田原さんは気まずそうな顔をした。