ひだまりHoney
「うん。ちょっと……もしかしたら、今日は少しだけ遅くなるかもしれないから、夕飯は自分で何とかして」
「ふーん」
コップに牛乳をついで、ごくごくと飲み干せば、また私を見た。
詮索しているような顔つきに「何よ」と呟けば、弟は黙り込む。
少しだけ居心地が悪くなって、私は立ち上がった。
何かを言われる前に、家を出よう。
しかし、真新しいブラウンのパンプスにつま先を入れた途端、弟がゆっくりと近寄ってきた。
「なんかさ、色々新しくね? 服もバックも靴も。いつ買った?」
「別に良いでしょ!? 放っといてよ」
痛いところを突かれてしまった。
金曜日の帰宅時に、ついふらりと、お店に立ち寄ってしまったのだ。
購入したのは、もちろん今日のためにである。