ひだまりHoney

ちょうど鎖骨の位置にある毛先を触れば、毛先があらぬ方向に向いてしまっている。

美都里さんとは逆に、髪は暗めのブラウンで染めてはいるけれど、思い返せば、美容院に行ったのは四ヶ月くらい前だ。

頭の天辺は、中途半端な二色になってしまっているだろう。

私もフェミニン系統の服をよく着ている。けれど、似合っているかどうかは愚問だ。

確実に、美都里さんは私より女性レベルの高い人。間違いない。

「平加戸さんは珠洲だったよね」
「あ、はい。よく知ってますね」
「知ってるよー。珠洲ちゃんの名前、よく男性社員の口から出てくるから」
「……えっ」

思わず眉根を寄せれば、美都里さんが動きを止め、目を大きく見開いた。

そしてパチパチパチと瞬きをくり返した後、手を叩きながら大笑いする。

美都里さんの明るい表情をじいっと見つめていると、彼女は私の視線に気がつき、慌てて姿勢を正した。

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