ひだまりHoney
「対戦相手に紺野がいるのか。めっちゃ、やる気出てきた!」
「出さなくて良いわよ!」
「顔見れば、誰が紺野か分かるもんね。しょうがないから、俺も話してみるわ。どんな男か」
「本当にそういうこと止めてよ! 紺野さんに迷惑掛けたりしたら怒るからね!
「大丈夫大丈夫大丈夫」
ニコニコと笑いながら言う凉太の「大丈夫」は、まったく信じることが出来ない。
私は凉太から名刺を奪い返し、玄関に戻った。
しかし――……。
「あー、ちょっと待てよ! どうせ行く場所同じなんだし、一緒に行こうぜ。兄弟水入らずでさぁ」
ばたばたと支度し始めた凉太を見て、私は立ち尽くした。
弟に、私は勝てないと思う。
今日はこれからだと言うのに、なんだかひどく疲れてしまった。