ひだまりHoney
弟と男の子たちを避けるように大回りしながら、知らんぷりで競技場へ向かう。
「遅せーよ。間に合わないんじゃないかと思って、焦ったじゃねーか!」
「ごめーん」
「ごめんじゃねーよ。他の皆はもう中にいるぞ」
二人がかりで、弟はもみくちゃにされている。
そうだ。やってやれ。
弟のマイペースな準備にどれだけイライラしたことか。私も間に合わないかとハラハラしたのだ。
開始までそんなに時間は無い。
余裕を持って到着し、紺野さんに「来ました」でも「頑張ってください」でも「応援してますね」でも何でも良いから、声くらい掛けたかったのに。
「だって、姉ちゃんが遅くてさ!」
「え!?」
他人のふりで通り過ぎたのに、聞こえてきた台詞に反応してしまった。