ひだまりHoney
今さらだけれど、松戸君たちは失礼だ……全く違う。失礼にも程がある。
「紺野! もうそろそろ」
奥の扉が開き、男の人の声が聞こえた。
その声音に、一瞬で血の気が引いていく。足下がふらついて、私は弟の腕を掴んだ。
まさかと否定するけれど、鼓動が五月蠅くなっていく。
私は似ている声音を知っている。
戸口から現れた姿に、横顔に、すぐさま顔を伏せた。
体が竦んだ。
記憶の中にある顔よりも大人になっているけれど、その人を知っている。
あまり思い出したくない人……野原勇弥(のはら ゆうや)。
私の元彼だ。
「マジかよ……アイツって」
弟の真剣な声が遠くで聞こえた。