ひだまりHoney
その隣には全く同じ格好をする桃宮さん。そして――。
「晴暉ーー!!」
希世さんが、声を張り上げている。
「もうすぐ試合も終わりですし、僕たちも前に行きますか?」
長く艶のある黒髪を物言わず見つめていれば、大田原さんが小さな声で提案してきた。
腕時計を見つめている横顔に対し、すぐに首を振った。
「いえ。私、ここで良いです」
「そうですか……そうですね、その方が良いですね。晴暉が集中できなくなりますから……そのために僕は今日来たのですから」
フィールドで走る紺野さんをじっと見つめながら、大田原さんはまるで自分に言い聞かせるように呟いた。
「それって、どういう?」
「希世さんがもし練習試合を見に来たら、きっと珠洲さんに話し掛けるでしょうから」