ひだまりHoney

頭の中で色々な感情がひしめき合う。処理しきれなくなりそうだ。

大田原さんがあっと声を発した。紺野さんと弟が、ボールを取り合っている。

「こういう時、珠洲さんはどちらを応援するんですか?」
「えっ!?……わ、私、最初っから弟なんて応援してません」
「ふふっ。そうですか。晴暉ですか」

ばたりと弟が倒れた。ホイッスルは鳴らなかったから、試合は途切れない。

皆が走り出す中、紺野さんは脚を止め、苦笑しながら手を差し出した。それを掴んで弟は立ち上がる。弟の表情も、なんだか朗らかだ。

紺野さんが弟の腕をポンっと叩いた。それは称えるような仕草だった。

試合に戻ればまた真剣な顔に変わる。

周りを見て、声をかけ、ボール追う。

彼の一つ一つの動作に目が離せなくなる。

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