ひだまりHoney

「ふふっ。試合は負けたけれど、部下のやる気を引き出すことには成功したみたいですね」

前方では、興奮を抑えきれないように、松戸さんと桃宮さんがもみ合っている。

「ウオー! 俺もボール蹴りたいぜー!」
「俺もー。フットサルの試合だって近いんだし、練習するか!?」

周囲の笑いを誘っているそのテンションに、思わず口元が緩んだ。

「仕事だって忙しいのに、サッカーとフットサルの練習もあると、紺野さんは暇な時間がなさそうですね」
「まぁそうでしょうね……晴暉はそれで良いと思ってるようです」

似合わないため息を吐いて、大田原さんは両手を頭の後ろで組んだ。

「でも僕は、晴暉には一時忘れるための逃げ場所ではなく、安らげる場所を得て欲しいです。幸せになってもらいたい」

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