ひだまりHoney

重みを漂わせる声音をかき消すように、松戸君たちの騒ぎ声が近付いてきた。

屋内通路へと戻るのだろう。

桃宮君の後に続く希世さんの姿も見えた。

「さてと、紺野っちに駄目だしするか!」
「止めてよ! 晴暉すっごく頑張ったじゃない!」
「周りのパスミスが多すぎなんだよ」
「それって、晴暉のせい?」

あははと笑い声が上がる。

「大田原さん、平加戸ちゃん。さよならー! また明日、会社で!」
「さようなら。また明日」

桃宮さんの底抜けに明るい声に、私は言葉ではなく笑みを返すと、一瞬だけ希世さんと目が合ってしまった。

すぐに彼女は自分の頬に手の平を添え、嬉しそうに笑った。

「あぁでも晴暉、やっぱり格好いい。惚れ直しちゃった。愛してる」

< 286 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop