ひだまりHoney
「大丈夫ですか?」
「大丈夫です。すみません」
空のペットボトルを受け取り、私は足早に歩き出した。
変な言い訳になっていたと思う。大田原さんも少しだけ腑に落ちない顔をしていたけど、本当の理由を話したくなかった。
自動販売機の横のゴミ捨て場に空のボトルを放り込み、深く息を吐いた。
紺野さんが出てくるのを待つのは良いけれど、その前に勇弥君が出てきて、尚且つ私に気付いてしまったらすごく嫌だ。
少し距離を置いた場所にいたかった。
コンビニ風の売店に入り、ふらふらと店の中を徘徊する。
「ねぇ」
声を掛けられ振り返れば、長い髪の女性が立っていた。
「ちょっと話したいんだけど」
鋭く見下ろす希世さんの瞳に、私はごくりと唾をのんだ。