ひだまりHoney

偶然の結末


売店の自動ドアがぎこちなく開き、人が行き来する。

往来が途絶えれば、何かに擦れる音を立てながら扉は閉まる。

「有り難うございました」とレジの女の子が営業スマイルを浮かべれば、品物を手にした人の列が僅かに短くなる。

けれど、またそこに人が並ぶ。

人の動きで生まれる、空気の流れ。来客それぞれの時間の流れ。

この狭い空間の中には確実に動きがあるというのに、雑誌売り場に並んで立つ私と希世さんの半径一メートル以内の空気は澱んでいた。

彼女の牽制と私の陰鬱が滞留している。

遠くに大田原さんの姿がある。何度かこちらに顔を向けてくれている。

けれど、丁度、希世さんは店の柱に寄り添うように立っているので、大田原さんからは影となり見えてないようだ。

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