ひだまりHoney
打ち込みのミスがないかを確認してからお昼に入ろうと考えていたのだが、立ち上がる彼の姿を見て、小さな光が見えた気がした。
お昼休憩が終わったら、しっかりやります!
心の中に強い誓いを立て、私は見直しを放棄した。
手早く保存し、そしてノートパソコンの電源を落とせば、ファンの音が鳴り止むのも待たずに立ち上がった。
「お昼入ります」
大田原さんに一言告げ、デスク下に置いておいた紙袋を掴み取り走り出した。
廊下に出て左右に目を向ける。
紺野さんはちょうどエレベーターに乗り込むところだった。
今が、話しかけるチャンスだ。
しかし、再び走り出した途端、希世さんの声が頭の中で響き渡る。
『晴暉は私の彼氏なの!』
その声は、両足をじわりと重くした。