ひだまりHoney
就業開始時間の少し前に紺野さんは出社した。
真っ先に私のところに来てくれ、「お早う。大丈夫か?」と言葉をかけてくれた。
途端に、不安で荒ぶっていた心の波が凪いでいったのを覚えている。
その後も、余計な事を思い出さないように、私は仕事に没頭した。
けれど時折、何かの拍子でフラッシュバックしてしまったときは、助けを求めるように、紺野さんの姿を視界に宿した。
すると不思議と、紺野さんも私に目を向けてくれ、穏やかなほほえみをくれるんだ。
好き。
ずっとあなたの傍にいたい。
愛しいという気持ちが折り重なっていく。
一階に辿り着き、外へ流れていく人の波に目を向ける。
乱れた呼吸を繰り返しながら靴を履く私に、周囲の目が集まってくる。