ひだまりHoney
切望
「今日の仕事、おーわりっと」
桃宮さんが椅子から立ち上がり、開放感を味わうが如く両腕を伸ばした。
「紺野さーん。うまいラーメン屋見付けたんですけど、これから行きません? 豚骨っすよ」
「これから、か」
「仕事終わるまで、俺どこかで時間潰してますし」
「ごめん、悪い。これから希世と会う約束してるんだ」
「へぇ……なんか……紺野さんからそんな台詞、初めて聞いた気がする」
「そうかもな。俺も初めて言ったような気がする」
桃宮さんと苦笑いを交わした後、紺野さんはちらりと腕時計を確認する。
私は瞳を閉じた。
昼も会ったのに、夜もまた希世さんですか?
自分の意地悪な声音が、心の奥底に響き渡った。