ひだまりHoney
派遣が終わってもまた会えるかもしれない……そんな希望を産み出す、魔法の言葉だ。
「あと二十分くらいで会社の下に着くみたいなんで、弟に直接交渉してみたらどうですか?」
「食事の約束は珠洲経由で良いよ。食事は三人で」
気恥ずかしくなって、周囲を見回した。廊下に人の姿はない。
フロアの中に残業組は居るみたいだけれど、帰宅組の流れはもう過ぎ去ったさらしい。
「……で、でも、二人の方が盛り上がれますよ。私はサッカー話に参加出来ませんし……よく分からない」
「何でも聞いて、教えるから。それで好きになってよ……俺が夢中になってるものを」
「えっ」
真剣な瞳に、体が痺れる。動けなくなった。
「珠洲の好きなものも教えて。俺も好きになりたい」