ひだまりHoney
呟きと共に、紺野さんの手が私を引き寄せた。
一瞬力が入ってしまった。
けれど、心地よい力強さと包み込む温かさが体に染みこんでくる。
徐々に私から無駄な力が抜けていく。
「珠洲を抱きしめると、すごくしっくりくるんだ」
「え?」
「このままこうしてると、溶け出しそうだ」
体を少しだけ離し、紺野さんが弱々しく笑った。
「他の女じゃ、そんなこと思ったことない……こう思える珠洲を、きっといつか俺は、抱くと思う」
顔を伏せるように、彼は私の肩に顔を埋めた。
「……抱きたい」
そっと腕に触れれば、震えているのが伝わってきた。
「でも、今の俺は中途半端だから……駄目なんだ」
意志が込められた声音に、それ以上、私は何の反応も出来なかった。