ひだまりHoney
「分かった」
お皿に残っていたお寿司を口の中に放り込んで、私は鞄からスマホを取り出した。
紺野さんの顔を思い浮かべれば、肩に彼の温かさが戻ってきた気がした。
『今の俺は中途半端だから……駄目なんだ』
あの時、紺野さんは微かに震えていた。
私の不用意な言葉で、紺野さんを困らせてしまった。
ごめんなさいと謝ろうとしたとき、フロアから誰かが出てくる気配がした。
私たちは揃って立ち上がり、そそくさとその場を離れたのだった。
空いているエレベーターで一階まで降り外に出れば、風が吹き荒れていて、一瞬でそんな雰囲気も吹き飛ばされていった。
今、私が紺野さんにメールをしたら、彼に迷惑を掛けたりしないだろうか。