ひだまりHoney

スマホが振動し、「メールだあぁぁ! うけとれーー!」とテンションの高い男の人の声が聞こえた。弟の趣味らしい。

弟がにやりと笑った。

「あぁ。そうですか、そうですか」
「な、何?」

弟は私の存在を忘れ去ってしまったように、紺野さんとのやりとりを続ける。

仕方なく、私は食事に戻った。

流れてきた焼きサーモンの皿を掴み取る。大根おろしも乗っていて、すごく美味しそうだ。

小さな歓声を上げながらもぐもぐ咀嚼していると、楽しげな凉太の手元からまた元気な声が上がる。

唇に箸先を付けた状態で、ぼんやりと考えてしまう。

なぜあまり間を置かずに、紺野さんから返信が来るのだろうか、と。

仕事の電話だったら、ゴメンと言って席を外す姿を見たこともある。

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