ひだまりHoney
ここじゃないのかな。
絶望にも似た感情が込み上げて来たとき、携帯の着信音が聞こえた。
ふっと視線を移動させると、遠くの東屋でちょっと寒そうに雨宿りをしている、紺野さんの姿があった。
やっと見つけた!
「紺野さん」
会話をするその表情に、厳しさが混ざっている。
瞬時に、通話相手は希世さんだと悟った。
話しながら、紺野さんは気だるそうに立ち上がった。
そして東屋の外に出て、私に背を向ける。
希世さんの所に行ってしまう。行かせたくない。
「紺――っ!?」
叫ぼうとした瞬間、視界が遮られた。
お酒のにおいを放つ男が、私を見てニヤニヤとしている。
瞬時に体が凍り付く。
「なんだお前ぇ、傘、もって……ひっく……ねぇのか?」
酔っ払いだ。