ひだまりHoney
美都里さんは顎に手を当て、また私を見た。
「珠洲ちゃん行ってきてよ。大田原さんの確認と、紺野さん誘ってきて」
「えっ?」
松戸さんと桃宮さんが、私に向かって一歩踏み出してきた。
「俺、この後貞子だからって断られたら……私今日で最後なんです! まさか来るよな! 来るって言えよ! って胸ぐらを掴むんだ」
「気持ち悪くなるくらい、ゆらゆら揺らせ!」
「……わっ、分かった! 行ってくる!」
つい返事に力が入ってしまい、けらけら笑っていた松戸さんと桃宮さんが、私の大声にびくっと反応した。
力強い足取りでその場を離れ、フロア入り口からそろりと中を覗き見た。
今日は珍しく残業組がいないみたいだ。
フロアには大田原さんと紺野さん。そして数名の女子社員が残っているだけ。
「あっ、悪い。確認の電話入れるの忘れてた」
紺野さんの声が響いた。