ひだまりHoney
「俺、何か……平加戸に頼まれてた仕事あったっけ? また忘れてる?」
「さぁ……もし忘れているとしたら、きっと違うことでしょう」
私はデスクに手をついた。
力が入ってバチンと大きな音が鳴った。紺野さんは身を仰け反らせた。
「紺野さん! 今日の夜、空いてますか!?」
「え!?」
「今日で私最後だし、皆で飲みに行こうかって話になってるんですけど。暇ですか!?」
「飲み会? みんな?」
紺野さんがちらりと大田原さんを見た。
「もちろん僕は行きますよ」
「僕は」を強調した従兄弟に、紺野さんは眉根を寄せる。
「あとは松戸君と桃宮君に美都里さん。でしたよね?」
「はい……紺野さん、これから予定があるんですよね?」
面倒くさいって思われたって、良い。
私はゆっくりと手を伸ばした。