ひだまりHoney

きょとんとしている美都里さんに、ぎこちない微笑みしか向けられなかった。

「私、事務から離れること出来なさそうです」
「えっ?」
「なので誰か他の方を頑張って勧誘してください……って、大田原さんに伝えて下さい。すみません」
「ちょっと、珠洲ちゃん!」

小さく会釈をし、私は歩き出した。

何度か私の名を美都里さんが呼んでくれたけど、振り返ることは出来なかった。

給湯室の狭い室内に足を踏み入れ、やや乱暴に台の上へ湯飲み茶碗を置き、私はトレーを胸元に抱えたまま背後の壁へもたれかかった。

やる気になっていただけに、残念だなという気持ちがどうしようもないくらい込み上げてくる。

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