ひだまりHoney
指先が震えている。なんて意気地の無い指先だろう。
でも、ここで引き下がっちゃ駄目だ。後悔したくない。
無理やり手を伸ばし――……紺野さんの腕をぎゅっと掴んだ。
「ちょっとだけで良いです。顔を出してもらえることも出来ませんか?」
「……珠洲」
「最後に、紺野さんと話がしたいです」
最後と言うのは、ちょっとずるいかもしれない。
でもそうでも言わないと、紺野さんは来てくれない気がした。
「……少し遅くなるかもしれないけど」
紺野さんの大きな手が、私の手を覆う。
「必ず行くから。待っててくれる? 俺も話したい」
気持ちのこもった言葉が嬉しくて、自然と笑顔がこぼれていく。
「はい! 待ってます!」
紺野さんも目を細め、朗らかな笑みを浮かべてくれた。