ひだまりHoney
煮え切らない男が紺野さんで、早く結婚をして専業主婦になりたい希世さんだ。
「失礼な人」
突然、背後から声を掛けられた。嫌な予感に肌が粟立った。
恐る恐る振り返れば、私の後ろに希世さんがいた。
今の呟きを本人に聞かれてしまったらしい。
「この前はどうも」
「どういたしまして」と言いそうなるのを必死でこらえ、「どうも」と小声を返した。
私はハッとし周囲を見渡す。気付いた事実に拳を握り閉めた。
「今日も紺野と一緒じゃないんですか?」
希世さんと会っているはずの紺野さんの姿は、どこにも見当たらなかった。
「……そうよ。ま、今から待ち合わせの場所に行く所だけど」
「会う気が無いなら……今日は私に紺野さんをください!」
「はぁ!?」
「あっ……貸して下さい」